配信元:国立大学法人岡山大学 岡山県岡山市北区津島中1丁目1番1号

Date:19 March 2021

 

岡山大学プレスリリース:株式会社ジャパンマゴットカンパニー

 

Okayama, 19 March 2021)ハエが命と農業を活かす! 古来より傷口治療に有効なマゴットセラピーとハチより扱いが簡単な農業用受粉ハエを独自技術で開発し、SDGsにも貢献する新たな価値を提供する

一人でも多くの患者さんを足切断から救いたい:マゴットセラピー

株式会社ジャパンマゴットカンパニー(本社:岡山市北区、代表取締役:佐藤卓也)は、岡山大学医学部発のベンチャー企業だ。マゴットセラピーというハエの幼虫(マゴット)を用いた治療を行うために、医療機関などに独自の技術開発で管理された幼虫を提供する。ハエの幼虫、つまり一般に「うじ虫」と言われている虫だが、そう聞くと「えっ!」と感じる人もいるかもしれない。だがこのうじ虫、いやマゴットが私たちの命を守る働きをしてくれるのだ。

 

 2004年、ジャパンマゴットカンパニーは岡山大学医学部(岡山市北区)において、オーストラリア産ハエ幼虫を使用したマゴットセラピーを実施した。「マゴットセラピー」とは、古来より傷の治療方法のひとつとして利用されている手法だ。傷口に意図的にハエ幼虫をわかせることで傷治療を行う。抗生物質と外科治療が発展する第2次世界大戦以前までは、世界中の医療機関において傷口治療の有用な方法としてマゴットセラピーは導入されていた。現代においては、抗生物質の効かない感染症の潰瘍が出現し、このマゴットセラピーの有用性が再注目されている。イギリスやアメリカでは、保険診療としてマゴットセラピーが活用されている。日本国内では、自由診療として扱われており国内の事例はまだまだ少ないのが実情だ。ジャパンマゴットカンパニーは、国内産の医療用マゴットを生産し、病院や診療所と連携しながら、糖尿病の合併症や高血圧、腎不全の影響で足が壊死した患者、やけどなどで負傷した部位などにマゴットセラピーを実施し、国内での発展を促進している。実施には、病院などの医療機関の倫理委員会の承認を受け、また医師が患者に対して治療方法についての十分な説明を行い、患者の同意を得る「インフォームドコンセント」を経た後に実施される。

 

 マゴットセラピーの長所としては、(1)禁忌症例がほとんどない、(2)麻酔が不要である、(3)副作用がほとんどない、(4)壊死組織のみ(死んだ蛋白質)が除去されるという点がある。もちろん、患者が痛みを感じることはないうえに、処置は虫が24時間不眠不休で処理し続ける。なお、治療に使用されるマゴットは医療用の無菌のマゴットである。この無菌にする技術がジャパンマゴットカンパニーの持つ優れた技術のひとつでもあり、これによりマゴットからの感染という点を防ぐことができる。

 糖尿病によって壊死した足などを切断することは誰もが避けたいことだ。できることなら切断せずに壊死した部分のみが綺麗に無くなればいいと考えるものだ。マゴットセラピーは、この願いを叶えるひとつの方法だ。

ハチ不足を解消! ハチより扱いが簡単な農業用受粉ハエを開発

 ジャパンマゴットカンパニーでは、マゴットセラピー用ハエ幼虫製造に加え、農業向けのハエ活用として、受粉用ヒロズキンバエ(ビーフライ)製造事業を展開している。

 

 2008年頃より、農業では世界的なハチ不足により作物の受粉に欠かせないハチが手に入らない状況が続き、価格高騰が起き、農家は大きな被害を受けた。そこでジャパンマゴットカンパニーは、医療用ハエの製造技術を応用し、ハチと同様に花粉媒介昆虫であるハエを新しいハチとして提案した。「ビーフライ(BEE FLY)」とは、「ハチ(BEE)のように働くハエ(FLY)」から命名されている。

 

ハエの活動温度帯は10~35℃と、ハチの15~25℃に比べて活動温度帯が広く、紫外線がなくても活動する。また、ハチは雨天や曇天時は活動しないが、ハエは天候に左右されることなく働くことができる。さらにサナギの状態での入荷が可能で、人に刺さないことから取り扱いがハチと比べて簡単であることが大きな利点として挙げられ、多くの農家からハチ不足の解決法として注目され、現在、ビーフライの導入農家は500軒を越え、その出荷は1000万個を越えている。

 

ジャパンマゴットカンパニーでは、近未来型農法として注目されているビーフライの研究開発を促進しており、多種多様な企業などとの共同研究を強く求めている。

 

国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標達成に貢献する事業活動

岡山大学は、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals;SDGs)」を大学経営の中心のひとつに置き、「岡山から世界に、新たな価値を創造し続けるSDGs推進研究大学」としての活発に教育、研究、社会貢献などを実施している。岡山大学医学部発ベンチャーであるジャパンマゴットカンパニーの事業は、岡山大学が大学経営の中心のひとつに置くSDGsのビジョンと同じものを事業として実施している。それもSDGsが提唱される以前からの、言わば先駆けだ。古来よりの治療法をいまの医療現場に沿う形にし、高度な医療機器や高額医療費も避ける道をつくり出した。SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」に当てはまる。そして、ハチより安価で、かつ扱いが簡単な農業用受粉ハエ「ビーフライ」の開発は食料の安定確保など農業に関係するSDGsの目標2「飢餓をゼロに」や緑の豊かさを守ることなどに関係するSDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」などに合致する。ジャパンマゴットカンパニーは、SGDsをただのムーブメントとしてではなく、きちんと事業として推進することで、世界共通の目標であるSDGsの達成にも貢献する事業を実施している。

 

起業家精神(アントレプレナーシップ)を醸成するSDGs推進研究大学:岡山大学の取組

岡山大学では近年、大学で生み出された優れた研究成果を世の中に送り出す手段のひとつとして、大学発スタートアップ・ベンチャー企業の育成支援を積極的に推進している。特に学生や研究者の「起業家精神(アントレプレナーシップ)」を醸成することは、仮に起業に至らなくても社会における課題解決や隠れた未知の課題の発見と解決の実践などに必要な「総合知」を得ることができる。 

岡山大学には、学生が主体となってアントレプレナーシップを醸成する学生組織「岡山大学-Ceed」がある。学生が主体となってアントレプレナーシップを共に学び、共に発揮し、未来を創造するミッションを掲げ、「挑戦」「気迫」「誠実」「探究」の4つの行動指針を持ち、学生の視点での課題解決を実践している。

 

岡山大学のアントレプレナーシップの先駆けとなる企業のひとつだ。佐藤卓也社長は、「脱サラ」して起業した挑戦者のひとりだが、佐藤社長が起業した当時は「アントレプレナーシップ」などという言葉、あるいは雰囲気などは、ほとんど感じない岡山の土地であった。その中でいろいろな人のつながりやアイデアを育て、事業に結びつけていく行動を絶えず行って来た。佐藤社長は「起業へのチャレンジは新しい世界へ自身を誘う勇気と決断、失敗を恐れず自分がやりたいことに進む道です。人生において失敗というものは無いというのが私の持論ですが、失敗からは多くのことを学ぶことができ、多くの失敗を経験した先にあるものが成功だと思います。岡山大学で研究されたシ-ズを育てて世に送り出し社会に貢献するために多くのアントレプレナーがこの岡山から輩出されて、岡山さらには日本の課題解決に取り組んでいくことを期待したいと思います」と岡山大学や岡山で起業へ挑戦しようとしている人たちにエールを送る。佐藤社長に続く起業家が連続的にうまれ、その中から佐藤社長と共に共同研究や共同事業を興す起業家が出てくるかもしれない。新たな価値を生み出す活動を岡山大学では精力的に実施している。いまその活動の取組に多くの注目が集まる。

 

参 考

・株式会社ジャパンマゴットカンパニー

 https://maggot.co.jp/

・マゴット治療用 無菌マゴット取扱い説明書(PDF:2.13MB)

 https://maggot.co.jp/download/maggot_01/

・「ビーフライ利用マニュアル」ミツバチ代替としてのビーフライによる受粉の実用化(PDF:3.12MB)

 https://maggot.co.jp/download/beehly_02/

・イチゴの新たな花粉媒介昆虫としてのヒロズキンバエ(商品名:ビーフライ)の利用(農林水産省)

 https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kihyo03/gityo/new_tech_cultivar/2020/2020seika-07.html

・岡山大学-Ceed

 https://www.ceed-okayama.org/

お問い合わせ先

株式会社ジャパンマゴットカンパニーに関するお問い合わせ先

〒700-0867 岡山県岡山市北区岡町3-14

TEL:086-953-4430

E-mail:info◎maggot.co.jp

    ※ ◎を@に置き換えて下さい

https://maggot.co.jp/

 

岡山大学の産学連携などに関するお問い合わせ先

岡山大学研究推進機構 産学連携・知的財産本部

〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階

TEL: 086-251-8463

E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp

    ※ ◎を@に置き換えて下さい

https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/

 

株式会社ジャパンマゴットカンパニーの佐藤卓也代表取締役

マゴットセラピーやビーフライに用いられるヒロズキンバエ。マゴットセラピーにはヒロズキンバエの幼虫(マゴット)を使用するがジャパンマゴットカンパニーの技術で無菌である

 

マゴットセラピーによる壊死部分の除去。足の切断を回避する方法としてマゴットセラピーが注目されている

 

花粉媒介昆虫としてのヒロズキンバエ(商品名:ビーフライ)を利用したイチゴの促成栽培の例。イチゴ以外にマンゴーなどでも利用できる利点がある

 

国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています

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